第5章 4日目
今は止んでいるが、日中に雨が降ったらしく地面に鮮やかなオレンジか散らばっている。
花が減っても金木犀の香りは強く香ってくる。
「散ってるな。雨でか?」
いつものように隣に人がいる。
いや、咲夜さんがいる。
「はい。」
「前に金木犀が咲いてる間はいるって言ってたが、散ったら来なくなるのか?」
「はい。」
「そうか。」
私にはその質問の意図がよくわからなかった。
また、会いたいと思うほど互いを知ってるわけではない。
ただ、二言三言交わして金木犀を眺めてるだけ。
それ以上の会話はなく、1時間が経った。
いつものように歩き出すと。
「また明日な。」
なんて言葉をかけられた。
金木犀が散らなければ。
声になることはなくイヤホンをつけた。