第3章 Je Te Veux 〔大倶利伽羅/R18〕
しばらくそのまま二人で抱き合ったままでいたけれど、私は大倶利伽羅の首に腕を巻き付ける。
「大倶利伽羅…大好きだよ…」
「…俺もだ…雅…」
私は大倶利伽羅の顔を見ながらせがむ。
「ねぇ、もっと、名前を呼んで?」
好きな貴方から呼ばれる名前は、心が蕩ける程心地よい。
「…雅…」
「…大倶利伽羅…」
互いに名前を呼び、呼び合うたびにキスする。
好きな貴方と触れあえるのがこんなに気持ちが良いなんて思えなかった。
それをたった一回で教えてくれた大倶利伽羅を、ぎゅっと抱き締める。
「大好き、大倶利伽羅」
囁くとさっきから何度も言っているのに、大倶利伽羅は少し赤くなって私の鼻をつまんだ。
「俺をまだ煽るのか?まだ、ここから出たくないのか」
「え…いや、えーと、そういうことじゃなく…て…」
私の慌てる様子を見て、大倶利伽羅はふわ、と優しく笑う。
あ、あまり感情を出さない大倶利伽羅のレアな笑顔だ。
私は、いつの間にこんなに貴方を好きになっていたのだろう。
時は関係ないよね、好きになったから好きになったんだもん。
大倶利伽羅の優しい顔を見て、私も自然と笑みが浮かぶ。
そして、また、キスを、私からそっと、大好きな貴方にした。
<終>