第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
一斉に戻ってきたのでさすがに見掛けられて、事情を知らない短刀に聞かれる。
「んー何かね、みんなばらばらに万屋に行って、ばったり向こうで会ったんだよね」
堀川が知らん振りして笑顔で答えると、短刀はふぅんとちょっと首を傾げてそのままどちらか行ってしまった。
「そのまま各自部屋へ直行だな」
長曽祢さんが言うと、明石が「おつかれさん」と軽く言って、蛍丸と愛染を連れてさっさと部屋へ戻って行った。
あまりの行動の早さに苦笑して俺たちは見送り、そして俺たちも各自の部屋へ戻った。
「おつかれさまでした」
俺から結果を聞いた主は、丁寧に俺に三つ指をついて礼をした。
「本当は皆さんに御礼を言いたいのですけれど、後でそっとお一振りずつ御礼を言いましょう」
安心したようにようやく微笑みを見せた主は、俺の両手を自分の両手で握ってきた。
「無事で…良かった…」
「心配かけたね」
俺は両手を外すと、そのまま主を抱き締めると、以前のような強張りはなく、柔らかく俺にもたれかかってきた。
「…雅…」
俺が名前を呼ぶと、主はゆっくりを俺の顔を見上げて、小さく微笑んだ。
俺は顔を寄せて、片手で主の頬を包むと、主はまつげを震わせ目線を彷徨わせるが、俺が口付けするとそれを受け入れ、俺の唇を何度もついばむように合わせた。