第12章 相容れぬ世界 〔斬鉄剣/R18〕
そう言って指を下着の中へ入れようとした時だった。
廊下から控えめな声が掛かった。
「…主殿、まだ起きておいでか?」
雅と長谷部は固まり、雅は一瞬のその後、急いで声を作って外へ言う。
「起きて、ます…ちょ…ちょっと…待ってください…」
「遅くに申し訳ござらぬ」
二人でがばと布団から起き上がり、急いで寝間着を改める。
寝間着を直して羽織をまとい、長谷部は掛け布団を広げ布団の乱れを隠した。
「ど…どうぞ…」
こほんと一度咳払いをしてから、廊下へ声を掛け、同時に長谷部が雅から少し離れた廊下近くへ移動して座る。
襖が開いて廊下から斬鉄剣が顔を出す。
「夜分に失礼するでござる…長谷部殿、こちらでござったか…もしかすると拙者、邪魔をしたでござるか」
二人が寝間着でいる事に斬鉄剣から突っ込まれるが、かぶせるように雅は言う。
「斬鉄剣さん、気分は悪くないですか?」
先程呑み過ぎて酔いつぶれた為、部屋へ連れて行った事を話すと、斬鉄剣は少し恥ずかしそうに後頭部に片手をあてた。
「さようでござったか、それは大変失礼仕った。注がれたら全て呑まなくてはならない、と思って全て飲み干していたでござる」