第4章 絆
「何年も付き合ってたし、結婚するつもりだった。でも、俺がこの道に人生をかけたいって感じ始めていたときに、あいつが他のやつと浮気してるのを知ってさ。なんにも言わなかった。他のやつに幸せにしてもらう方があいつのためだって思ったから。」
私はずっと、隆二が彼女を振ったのだと思っていた。
「だから、本当は怖かったよ。お前に一目惚れしたとき。スッゲー考えた。もし、また俺の前から逃げていかれたらどうしようって。哲也さんといい感じだったし。でも、お前と触れ合っていくうちに、そんなの引っくるめて、全部受け止めて行きたいって思ったんだよな。心のどっかで哲也さんを求めてても、最終的に帰ってくる所が俺なら良いって。どうしても、お前だけは手放したくないんだよね。お前だけは、俺が幸せにしたい。」
「隆二。。。」
「だから。嘘でも元カノと戻れとか言うな。本当に戻ってほしいなら別だけど。。。」不安そうに私をみてくる隆二。
「ごめんなさい。もう絶対に言わない。」私は隆二の胸に顔を埋めた。
「哲也さんは、受け止めるけど、新しい男は無理だからな。人の彼氏と仲良くすんなよな。」私の頭にぐりぐりとあごを乗せる。
「ごめん。なんだかほっておけなくて。馴染んでなかったし。」
「その心配はお前がしなくていいんだよ。あいつの彼氏が馴染んでなかったら、フォローするのはあいつの役なんだから。お前が馴染めてなかったら俺がフォローするし。まあ、お前はその必要もねえけどな。でも、ありがとな。みんなと仲良くしてくれて。」
「こちらこそだよ。みんな面白いしいい人たちだね。」
「だろー?」
私達は今回の旅行でより絆が深まった。