第8章 コーティング用のチョコを湯煎して溶かします
「ッ…ぜぇーっ、はぁーっ…」
しばらく後。
だらしなく舌を出しながら、私は大きく酸素を取り込んだ。
死にそう…。
「有さん、お水」
秋也くんはミネラルウォーター入りのコップを差し出した。
「ハッ…はぁ…はっ…」
飲みたかったけど、起き上がれない。どころか、手も伸ばせない。私の手はガクガク震えて数cm浮き上がったかと思うと。バタリとシーツに沈み込んでしまった。
秋也くんはそれを見ると、例のトリュフチョコを自分の口に放り込んでモグモグ、そして水を口に含んで、私の口に流し込んできた。
いや、おいおい、何してんだ。と思ったけど、不思議と変な感じはしなかった。
甘い水流が喉を潤して、体全体に染み渡っていく気がする。甘い。美味しい。あまい。
口の端から水が流れ落ちると、秋也くんは舌でそれをすくいとって、私の唇に塗りたくるように、舌を擦り付けた。
私はその舌に自分の舌を絡ませた。秋也くん、美味しい。
「はぁはぁ…も、動けない…」
チョコレートの水で少し回復した喉からそう絞り出すと、秋也くんは「動かなくていいですよ」と言った。
そして私の体をコテンとうつ伏せに寝かせた。
「オレが動きます」