第7章 冷えたチョコを手で丸めます
「有さん…!痛かったですか?」
「ち、ぁ…」
違うの、と言いたかったけど言葉にならなかった。涙が後から後から出て、ぐしゅぐしゅしちゃって何にも言えない。
「抜きます、抜きますね」
秋也くんが慌てて腰を引こうとしたので、私は彼の背に腕を回し、ギュッと抱き寄せた。
「ちが…の」
「有さん」
「秋也くん…私…うれしくて…」
私は秋也くんをキツく、それはそれはキツく抱きしめた。
「愛されるって、こういうことだねえ…」
秋也くんの体温が温かかった。私の中が秋也くんで満ちていた。肌と肌を合わせて、私達は完全に1つになっていた。
ずうっと寂しかった。
夫と2人で暮らしていても、満たされない思いがいつもあった。
嫌いになったわけじゃない。でもどうしようもなく寂しかった。
夫と体を繋げることで何かを得たかった。でもいつも理解されなかった。
拒絶されるのが怖いから、求めることもやめるようになった。
自分で自分を慰めて、もう私は一生満たされることはないのかと思うと、1人で泣いてしまった。
どうしようもなく寂しかった。
忘れていた。
誰かと重なるって、こんなに、“幸せ”って気持ちになるんだねえ。
「秋也くん…いっぱいして。私の中を秋也くんで満たして」
そう呟くと、秋也くんは私にキスをしてくれた。
甘いキス。とろけるね。私もう、どうなっちゃってもいい。