第14章 思い出した
…ねえ、葉月。
不安なのは俺も同じだよ?むしろ俺の方が不安だよ。どっちかって言えば。だって。俺なんてホラ、忙しくて時間ないし、ホント身動きとれないけど、葉月はさ。仕事中でも危ないでしょ。周り、オオカミみたいな連中がうようよいるんだから。それでなくてもスキだらけなのにさ。ホント『体に気をつけてね?』って。それ、コッチのセリフですよ?マジで。ホント気をつけてねっ??
だから、これからもときどき会いに行って。想いをね?注入してやろうかと。うん。たくらんでます。ホント忙しいんだけど。もっと忙しくなってくると思うんだけど。でも俺、寝ないで釣り行けるから。そのくらいはできるんですよ。まだまだ若いから!
それにほら。そういうのもアレ1回きりだったらさ。やっぱり酔った勢いで…とか、流されて雰囲気で…とかさ。逆にそういう風に取られるかもしれないし?違うから。ね。オイタじゃないから。ちゃんと気持ち、ありますから。うん。会いたいから、会いにいくんだから。こないだもそうだし…。実は、昨日も…。
ええ。昨日っていうか、もう今日なんだけどね、実は。焼肉途中下車したあと、やっぱりどうしても顔見たくなっちゃって。めちゃくちゃ深夜だったんだけど、葉月の家に行っちゃった。
ホントに遅かったから、さすがに申し訳ないなって、すぐ帰りましたけどね。まあ…チューだけして?うん。ハグして。『なんか焼肉くさい…』って文句言われながらもギュッと。俺の好きな、あのほにゃっとした笑顔でね。しかもちょっと寝ぼけたカンジで…。
…フフ。
思い出しただけでも、ハートに火が灯るのがわかる。ホワンって。じんわり、あったまってくる。
いや、ホント幸せだな?俺。まあ、顔には出さないけど。もちろん(笑)。