第12章 シラス
実をいうと、その日、けっこう時間とれる最後の日っていうか。ドラマ始まる前の。お泊りは無理だけど、まあ…ね?ソレ相応の時間はあったのよ。だから会いに行ったんだけども。
やっぱアレ以来だから、お互いまだちょっと、なんていうか。よそよそしい感じ?恋人…通算二日目?だしね。だからまあ、いきなりそんなムードにはならなくて。で、初めて来たときみたいに、ふたりで座って石眺めてたら…そう言えばって。そういう話になったんだよね。
あ、ちなみに。例の石はその後、どうなったかと言いますと…
葉月んちの定位置にお帰りになりました!なんかね、ヤツはそこがいいんだって。そう言うから、仕方ない。リリースしてやりましたよ。ええ。俺も大人だから。
ヤツは相変わらず俺らのことジーって見てくるけど、もう俺らは石を通してじゃなく、ちゃんと直接、見つめ合える。まだ照れるけど、でもちゃんと真っ直ぐ見つめ合って
手を
唇を
好きと好きを
重ね合わせてる…。
「んっ…んぁ…ちゅっ…」
…うん。自然と唇を合わせて。互いの想い、混ぜ合わせて…。今夜も、このまんま、ひとつになって溶けるまで、ゆっくりゆっくり…