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The one that got away.

第8章 目的





凛たちが廊下を歩いていた時、緑さんと轟は指輪に映し出された男を見ていた


「ショート、この人って…」

「あぁ、俺がこの前捕まえたハッカーだ」

「死んだんじゃ…?」

「…俺もそう思ってた」


だが、紛れもなくそこに映る男は先日自爆したと言われた男。どこにでも居そうな眼鏡をかけた中年の男だった


「彼は確かに死んださ身体的にはね」

「どういうことだ?」

「精神だけが生きている…いや、この中に残っていたんだ」


本当に賢い男だよ、とボスと呼ばれる男は笑った。


「…聞いたことがある、死んでもコンピューターやインターネットの中に意思を残す技術があるって。だけどそれは」

「勿論、人間の倫理に反することは理解している。だがどうだ?素晴らしいと思わないかい?これだけの技術を持った男が自らの情報を私に提供するために生きているんだよ」

「……狂ってるな」

「ハハッ、何とでも言えばいいさ」


今まで、緑谷たちが対してきたヴィランの中にも狂人はいた。だがこのような当たり障りなく犯罪に手を染める奴は初めてだった

根本的なものが腐っているとかではない、寧ろその根本的なものが不安定であやふやで…何故だか未知の生物と対峙しているような感覚だ


「それに君たちは嫌でも私の力になるさ」

「なるわけないだろ」

「いいや絶対になる。何たって私は君たちの…」

「ボス!!!」

「…ッチ、何だ!今は取り込み中だと言っただろう!」


男が何か言おうとしたとき黒服の男たちが数人慌てた様子で部屋に飛び込んで来た


「申し訳ございません!ですが…」

《ボス、侵入者です》

「……なに?」

《女と男が二人。ファントム・ルージュと爆心地です》

「何だと!?寄りにもよってルージュとは…まて、何故爆心地がいる!?」

《分かりません。ただ現在42階で交戦中です》

「ッチ!おい!!」


苛立ちを隠さず黒服の男たちに指示を出す男。緑谷は轟を見て顔を見合わせた後、手に力を込めガラスの方へと向けた。すると風圧でその分厚いガラスが割れた


「……ふぅ。これで良かったんだよね」

「うん十分だ。ありがとうデク!けどガラス刺さりそうだったよ」

「な、ななっんだ!誰だ貴様!?」

「あれ、僕のこと知らない?…まあ別にいいけ、ど!」


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