第4章 必然で突然
『あの、本当にありがとうございました』
青空が広がる飛行場で凛は見送りに来てくれた二人に大きく頭を下げた
「いや、気にしなくていい。それに…私も君と会えて良かった」
「ボクも!ボクもだよリン!」
目を覚ました凛が真っ先に目にしたのは白い天井だった。スタークの話によると事件から2日が経っていた
「それよりすまないね、君の怪我は…」
『?…あぁ、別にいいですよ』
「だが…君はレディだ。女性に傷をつけたとなると私のプライドが許さない」
『そんなの、助けて頂いただけでも私は…』
マシンから受けた光線のせいで右足首には傷跡が残った。彼らが凛を助けたらしいが残る傷跡ができてしまったことに後悔しているらしい
『それに、これでも一応ヒーロー科ですよ。傷の1つや2つ平気です』
「……そうか。君は強いな」
『それは違います。私なんてまだまだ……』
「強くはない。…か?」
『…はい』
そう。本当に自分が強ければ怪我をせずに彼らに気をつかわせることなんてなかったのだ。
本当にお世話になりました。ともう一度深く頭を下げ飛行機に乗車しようとしたときだった
「お嬢さん!…いや、リン!!!」
腕をスタークに掴まれそのまま抱きつかれてしまった。
『す、スタークさん?』
「…本当に心の底から思うよ。ここで君と会えて良かった。もし、もしもだ。……君が何か辛いと感じたり苦しいと感じるなら、」
大切なものを
大切な人たちを守るために強くなりたいと思うのなら
私を頼ってくれ
何故なら私は大富豪で鉄の男、アイアンマン
そして天才発明家トニー・スタークだ
いや、それも違うな…
「君の前ではただのトニー・スタークだ。……もう一度、君に会える日を楽しみにしているよ」
抱きしめてくる彼の腕が震えているのを感じて、凛は思わずと言った風に笑った
『私も楽しみにしてます。……またね、お父さん』
そう言った凛は青い瞳を細めた。
そして驚きのあまり固まっているスタークのサングラスを取り外し自身につけ、今度こそと軽い足取りで飛行機に乗り込んだ。
飛行場にはスタークとピーターの叫び声が木霊していた