第1章 私のこころの行方
そうして、それぞれ着替えて道場へ向かった。
景家が、本当に心配しているのがわかる。
それは、当然のこと、謙信は、軍神と呼ばれる程、剣術、武術などの、こと戦にまつわる事には、並ぶものは居ないと言われている程なのだ、、、
いくら、稽古とは言え謙信が手加減をするなど、今まではなかった。
上杉軍の手練れさえも、根をあげる程の訓練に茉莉花が付いてこれる訳がないと、心配して居た。
ところが、茉莉花がその景家の予想をはるかに上回る腕前だと言うことが、二人の様子を見て分かった。
もちろん、本来の謙信からすると手加減をしてはいるがそれでも、その辺の男よりも激しい訓練である。
それは、いつも謙信の側で仕えている景家だからわかる事であった。
が、景家は、自分の目が、頭がおかしくなったのではないかと思う程に驚いた。
《す、凄い。
茉莉花様が、、、謙信様と。
このような、、、、こと、、、謙信様と共に剣を振るう事ができる方がいるなどとは、、、
今まで見たことが無い。
これは、絶対に謙信様のご正室になっていただかなければならぬ。》
と、ボソボソと独りごちて居た。
そうして、一頻り訓練も終わり汗もかいたので、湯浴みをして
さっぱりしてから、夕餉を取ろうという話になり、また、それぞれ一旦部屋に戻るのであった。