第1章 私のこころの行方
茉莉花は、あまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にし、俯いて、身体を丸めて小さくなっている。
謙信が、ふと、気がついて
『茉莉花。』
どうしたのだ❓
何故俯き、小さくなって居る❓』
『いえ、、、。
この体勢が少々恥ずかしく、、、て』
と、蚊の鳴くような声で茉莉花が答えると、、、。
『先ほども一緒に乗って来たではないか。』
『そうなのですが、、、
先程は、あまりに景色が素晴らしく子供の様にそちらに気を取られておりまして、、、。
お恥ずかしい限りです、、、。』
と、益々顔が赤くなっていった。
その様子を見ながら、謙信は
『そうか、我が越後の地は自然が美しいということか、、、。』
『はい、とても素晴らしい自然の美しさが私の心を子供の様に浮足立たせました。
申し訳ありません。』
『いや、いい。
お前が喜んでくれるならばな。
だが、俺と一緒に馬に乗るのも慣れてもらわなければならぬ。』
『え?
でも、私、一人でも乗れますので謙信様のお手を煩わせる事はないかと、、、』
『いや、俺がお前と共に乗りたい時もあると覚えておけ。
その時は、否はないのだからな。』
謙信が、こんなに茉莉花の事を気遣い、優しく接してくれていることに、申し訳ない気持ちもあったが、今まで茉莉花に対しこのように
強引に何事も進めてくれる人がいなかったのもあって、少し楽しい気持ちが生まれていた。
茉莉花は恥ずかしがりながらも
『はい。
承知しました。』
そんな話をしながら二人で春日山城に着いた時に城門で景家と、もう一人見たことのない男が待っていた。