第3章 愛運の結びまで
その声に、思わず頭を上げて母親の顔を見つめた。
すると、母千鶴は、茉莉花の手を強く握り
『そのような事、、、。
何故、、、そのような事を言うのですか!!
物事の順序たる物は、あくまでもただの例えでしかないのです。
其れは、貴方が武家の娘として世に出しても恥ずかしくない事の一つとして、教えてきた事。
貴方は、今や天下人信長様のご正室となられるのですから、そのような事、気にすることも憚られます。
既に、信長様の元で日々共に過ごされて居れば、至極当たり前のことでは御座いませんか。
剰え、信長様の御子様を授けていただいたとなれば、何を迷う事がございましょう!!
母は、昨日、秀吉様直々に屋敷にお出でになられ、そのお話をお伺いした時、幼き頃より貴方に教えてきた事で、それが枷になり、懐妊を素直に喜ぶ事ができなかった貴方に申し訳ないと心から悔やみました。
ですので、この度この様に信長様のお心遣いが痛いほど有難く、こうして安土城に 伺った次第なのです。』
『、、、母上、、。
では、、。』