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Dearest【降谷零夢】

第3章 近づく距離


拒絶された。
そう感じたのは彼女が俺と視線を合わせなかったから。

「(……一時的な同居人だ。踏み込まれたくないのは当たり前か。)」
『さて、降谷君はやく帰ってハムサンド作ろ。』
「だからレタス買ったのか。」
『私の作るハムサンドは好評なの。』
「へぇ、誰に?」
『友達に。』
「……すごい失礼な事言うけど、友達いたんだな。」
『本当に失礼だね。友達くらいいるよ。』

ちょっとだけムッとした表情を見せた彼女に俺は笑いながら謝った。

「ごめんごめん。」
『誠意が込もってませーん。』

こんな風にふざけあっていられる方が良いのかもしれない。
無理にでも踏み込もうものなら彼女はこうして笑ったりしてくれなくなるだろう。

「(それはそれで嫌だしな。)」
『今更ながら降谷君の好きな食べ物って何?』
「え、セロリだけど……」
『セロリ…………渋いね。』
「旨いよ?」
『いや、うん……』

せめて俺がいなくなる時は笑ってて欲しい。

「え、パン蒸すの?ていうか蒸し器あるのがビックリなんだけど……」
『たまに茶碗蒸しとか作るしね。』
「なるほど。それでレタスはどうする?」
『レタスはお湯で軽く洗うの、そうすると蒸したパンと合うんだよ。』
「ほぉ……。」
『蒸したパンにさっき作った味噌マヨネーズ、オリーブオイルを塗ってレタスとハムを挟めば完成。』

出来上がったハムサンドを食べて俺は目を見開いた。

「うまっ……!こんな作り方あったんだな。」
『料理するの好きだから、つい色々と試しちゃうの。』
「だから蒸し器とかも持ってるのか。」
『友達に試作品食べさせては感想もらってとかしてたんだよ。』

納得しながらまたハムサンドに齧り付く。
ジーっと俺を見つめる彼女に首を傾げた。

「ん?」
『……あのね、さっきの話なんだけど……』
「……あぁ」
『……私がもっと感情出したら降谷君は嬉しい?ここにいる間の事、楽しい思い出になる?』
「……嬉しいし、良い思い出になるさ。」
『……じゃあもっと出していく。降谷君が嬉しいなら私も嬉しい。』

にこりと作ってない笑みを見せてくれた葉月さんに俺も笑って返した。

『何も話せなくてごめんね。』
「別に良いさ。」
『そうだ、そろそろ呼び方変えない?違和感しかないんだよね。』
「え、じゃあ……愛?」
『まさかの名前呼び……!?』


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