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Dearest【降谷零夢】

第9章 決着


悲しげに伏せられた瞳を、もう一度開くと幸紀と安室を睨む様に向けた。

「なのに、この2人が彼女をこの家に引き戻した。」
「え?安室さんが?」
「当時、名前は知らなかったけど彼がこの家に来ていたのは知ってたわ。幸紀と何か話しているのも。」
「……あの時、感じた視線は貴女だったんですね。」
「貴方が余計な事をしなければ、この子は無関係のままでいられたのに!」
「……無関係のままが幸せだとは限らない。実際、彼女と出逢った頃は無表情だった……人と極力関わろうとせず、笑う事も泣く事もしない……それを貴女は幸せと呼ぶのか?」

普段の安室としての態度も忘れ、素の口調で真理子に問い掛ける。
その当時の様子を真理子は知らなかったのだろう。
信じられないと言った表情で愛を見た。
そんな視線に耐えられず愛は顔を背けた。

「ずっと、彼女は両親の死の真相を知っても誰かを憎むなんてしなかった。まるで自分が悪いんだと。それでも、貴女はあのままでいた方が幸せだと思うのか?」
『透……もう良いわ。』
「……愛……」
『真理子さん……私はこの家に戻ってきた事を不幸だなんて思ってません。ずっと1人だった私に兄さんが出来たのも彼という素敵な男性に出逢えたのも、この家の人間として産まれたからだと思ってます。宗次郎……おじ様、私は貴方のした事を許す気はありません……だけど、父さん達の様に貴方を信じたいと思います。』

愛は屈んで宗次郎の手を取る。
真っ直ぐ見つめてくる瞳は大切だった祐一郎と桐華を思い出させた。

「……こんな俺を……信じるのか?」
『これからの貴方を、私は信じたい。』
「……っ……すまない……!!君に寂しい思いをさせて本当にすまなかった……!」

愛の手を握り締め、泣きながら謝罪する宗次郎を安室は納得いかないといった具合に見ていた。
それを感じとった愛は安室の方を向いて思わず苦笑する。

『貴方がそんな顔をしなくて良いのよ?透。』
「……今までの君が受けた苦痛は謝って済む問題ではないだろう?」
『もう良いの、大丈夫だから……こうして解決出来たんだから私はそれで充分。毛利さん、ありがとうございました……コナン君もありがとう。』

愛が浮かべた笑みは今までにないくらい穏やかだった。




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