第4章 接触
葉月家を出た降谷は今日の話を愛にするか悩んでいた。
「話しても素直に聞いてくれないよなぁ……」
下手したら怒って泣かれるかもしれないとまで考えて、またしても悩む。
『あれ、零?』
「愛……?!」
『珍しいね、1人で出掛けてたの?』
「あ、あぁ……。」
『どうしたの?何かあった??』
「……いや、愛は用事終わった?」
『うん。』
「なら一緒に帰るか。」
手を差し出せば嬉しそうに笑って握ってくる。
そんな姿に降谷は胸が苦しくなった。
せめて彼女の両親が彼女をしっかり愛していた事だけは伝えたい。
だけどー
「(自殺じゃなくて他殺だったなんて言いたくないな。)」
『零!』
「!ど、どうした?」
『どうした?はこっちの台詞だよ。さっきから眉間に皺寄せて難しい顔しちゃって……何度も呼んでるのに気付かないから。』
「悪い。考え事してた。」
『……やっぱり何かあったのね。』
「(鋭くないか?)」
『私の事?』
言い当てられて息を呑む。
愛は困った様に笑いながら降谷の手を引いた。
「愛……?」
『話、家に帰ってから聞くよ。』
「……あぁ。」
それから2人は家に着くまで口を開かなかった。
帰宅して、リビングに座る。
飲み物を用意する愛に降谷は意を決して話した。
「……あの男に会ってきた。」
『それで?』
「……アイツは愛の親戚で、本当は愛の父親が継ぐはずだった家の当主に就いてる。そこで俺は愛の両親が自殺じゃなく殺されたんだって聞いた。」
『……そう。』
「ちゃんと愛は両親から愛されてたんだって……そうじゃなきゃ……」
『遺産を私に相続させたりしないって?』
コトリとカップをテーブルに置く愛の顔を降谷は見上げた。
「……な、んで……」
『……本当は全部知ってるの。父さん達が私を疎ましく思ってなんかいないのもあの人の事も……』
「……じゃあ、どうしてあの時自殺したなんて言ったんだ?」
『そう思いたかった。殺されたなんて信じたくなかったんだよね……人を憎みたくなかったの。』
「……っ」
『父さん達はよく言ってた、憎しみは憎しみしか生まない。って……私に自分達の身に何があっても憎むなと、憎むなら父さん達を憎めと。』