第1章 1部
「よう、じゃねーか」
「おう」
「やあ」
デカブツ跡地に向かう私(とカミナ)に声を掛けてきた男が数人。
「こんにちは、皆お揃いだね」
キタンとキッド、そしてアイラックだった。少し遅れてゾーシィやジョーガンとバリンボーも向かって来る。
「だ」
「久しぶりだ久しぶり」
「こんにちは。どうしたの、こんなに勢揃いで」
代わり映えのしない大グレン団ガンメン乗りの団体に、カミナが目を丸くしてから懐かしそうに細める。
「…ちっとも変わんねェなこいつ等」
(そこが良い所じゃない)
軽口を叩きながらカミナは彼等を見た。
大柄の男達に囲まれたら、そんなに背の高くない私の視界は殆ど遮られる。
「ほらお前等ちょっと離れろ」
カミナはそんな私の周りから彼等をふざけて追い払う仕草までしている。カミナにとって彼等はとても気安い存在なのだろう。
「いやあ…ロシウの奴に呼ばれてな」
勢揃いの先頭のキタンが肩を竦めた。
「新しく政府作るって言ってるだろ? それに俺達を幹部にするって言われてよ…」
心底困ったとキタンが溜め息をつく。それに習い周りの男達も同様に大きく溜め息を吐いた。
「「幹部?」」
私とカミナの声が被った。もう一人の声が聞こえていないキタン達は当然私に向かって返事をする。
「政府のお偉いさんになれってよ。俺らの功績だかカリスマだかで政府を纏め上げろってさ…知ってるだろ? 俺らはただのガンメン乗りだぜ? 向いてる訳無ぇじゃんよ」
げっそりとキタンが声色を沈ませる。周りの大グレン団の面々も同じ様な表情だ。
「それは大変だね…」
私も声を落とした。
この男達は見た目通りの生粋の現場主義者だ。幹部と言いつつ机に向かうような、所謂事務仕事に向いている訳がないのはよく分かる。