第4章 過去………そして未来へ
ー5年後ー
相変わらずグループは順調で、毎日忙しい日々を過ごしていた。
慎吾「そういえばさぁ、最近静香さん見ないけど、どうかした?」
この頃になると静香は、何か理由をつけては俺と会わないようにしていた。
けど、メールや電話ではそれまでと同じだったから、俺が忙しいのを気にして、気を利かせてくれてるのだと思っていた。
拓哉「別にどうもしないけど。あいつも俺と一緒で忙しいだけだろ」
この時に静香の気持ちに気づいていれば、最悪の結末は招かなかっただろう………
けど俺は、永遠の命と若さがあるヴァンパイア。
そして男だから、静香の苦しみに全く気づかなかった。
次第にメールのやり取りもなくなり、流石におかしいと思った俺は、静香の部屋へ向かった。
拓哉「静香?いる?」
チャイムを鳴らしたり、ドアを叩いて呼んだりしたけど返事はなかった。
俺は、預かっていた合鍵で部屋へ入った。
そこにはある筈の家具がなく…………ただ何もない空間が広がっていた。
なすすべもなく立ち尽くす俺………
ふと部屋の真ん中に何かがある事に気づいた。
手に取ると、それは俺宛の手紙だった。