第4章 過去………そして未来へ
拓哉「ねぇ、ちゃん。今日ちゃんをここに呼んだのは、どうしても話しておかなくちゃいけない事があるからなんだ」
「私にですか?」
拓哉「うん。最後まで話を聞いて、そして改めてちゃんの気持ちを聞かせて欲しい」
ちゃんは少し考え込むと、わかりましたと答えた。
木村さんは優しく微笑むと、話し始めた。
拓哉「ちゃんはヴァンパイアって知ってる?」
「はい。物語に出てくるあのヴァンパイアですよね?」
拓哉「うん。多くの人間は、ヴァンパイアは空想の人物だと思ってるよね」
「はい」
拓哉「でも実際には、ヴァンパイアは実在していて、すぐ側にいるんだ」
「えっ?」
木村さんはそこまで話すと、人間の姿からヴァンパイアの姿になった。
拓哉「これがもう1つの俺の姿………俺はヴァンパイアなんだ」
「木村さんが………」
拓哉「俺だけじゃない。北山、千賀、横尾、玉森、二階堂…………そして………藤ヶ谷………あいつら全員ヴァンパイアなんだ」
「みなさんも………」
ちゃんは驚いた顔をしていた。
無理もない………周りの人間が全員ヴァンパイアだったのだから………
拓哉「この店は、ヴァンパイアの集まる場所なんだ。だから、本当は人間は入れないんだ」
「えっ!じゃ、じゃあ私はどうして………」
拓哉「それは、いつも藤ヶ谷がちゃんを守っていたから」
「太輔くん………」
拓哉「藤ヶ谷は、自分がヴァンパイアだって事をずっと悩んでいた。昔の俺みたいに……」
「昔の木村さんみたいにですか?」
拓哉「うん。昔、まだ俺があいつらと同じ仕事をしてた頃、俺には大切な人がいたんだ」
そう言うと遠い目をして、木村さんはこの前俺に話してくれた事をちゃんに聞かせた。