第2章 想い
拓哉「そっか、怖いか………俺………藤ヶ谷の気持ち良く分かるよ」
太輔「えっ?」
顔を上げると、木村さんはニコッと笑った。
そして何故か遠くを見る様な目をした。
拓哉「俺にも昔、好きな女がいたんだ。だから藤ヶ谷の気持ち良く分かるよ」
太輔「木村さん………」
木村さんはそれ以上は何も言わず、ただ頑張れとだけ言って、俺を店から送り出してくれた。
それからの俺は、毎日の様にちゃんとメールのやり取りをした。
そして時間がある時は、あの公園で会話を楽しんだ。
メンバーともすっかり打ち解けたちゃんは、コンサートはもちろんの事、仕事現場にも時々顔を出すようになった。
もちろんオアシスにも………
俊哉「ちゃん!今日も一緒にオアシス行くよね!」
「もちろん!」
宏光「じゃ、はやく行こうぜ!」
ということで、俺達は木村さんの所へ向かった。
もうすぐ着くという所で、木村さんからメールが来た。
《ちゃんも一緒なら、今日は来ちゃダメよ!!
by.拓哉》
渉「太輔、木村さんからメール?」
太輔「うん………」
俺は渉に、木村さんからのメールを見せた。
それから他のメンバーにも………
このメールだけで木村さんが言おうとしている事が、俺達にはわかった。
"オアシスに他のヴァンパイアがいる………"
俺達の顔色が変わったことに気づいたちゃん。
「みんな、どうかしたの?」
心配そうな顔のちゃん。
俺達は顔を見合わせた。
裕太が肘で俺を突く。
太輔「な、なんでもないよ。木村さんから来たメールを見ていただけだよ。今日はオアシス休みなんだって。せっかく誘ったのにごめんね」
「太輔くんが謝ることじゃないよ。木村さんだってお休みしたい日あると思うから、私は大丈夫だよ」
俊哉「また次、みんなで行こうよ」
「うん。じゃあ、今日は帰るね」
太輔「俺、送るよ」
「ありがと。じゃ、みんなまたね。おやすみ!」
俊哉「じゃあね」
宏光「またね」