第1章 初めて気づいた気持ち
高嗣「ちょっと待ってて」
そう言うと高嗣は部屋に戻り、何かを手にして戻ってきた。
高嗣「はい、これ」
高嗣の手から放たれた物をキャッチして見てみる。
それはキャンディだった。
「ありがとう………っていうか、私泣いてないんだけど?」
高嗣の行動が理解できず、小首をかしげる。
高嗣「お前………彼氏に二股かけられてたんだろ?」
「えっ?」
彼氏の事は高嗣には話してない。
というか、彼氏が出来たことすら言ってなかったのに……
高嗣「マイコからメールで聞いた。あいつを頼むだってさ」
「マイコが……」
マイコってば、余計な事を………(苦笑)
高嗣「まぁ男なんて世の中にはいっぱい居るんだからさ、二股かける様などうしようもない男は、こっちから振ってやれ!」
「そうだね………」
うんうんと頷く高嗣。
高嗣「案外に相応しい男は近くにいるかもしれないし、またすぐに彼氏できるさ」
「うん………で、近くにいる私に相応しい男って誰の事かな?(笑)」
高嗣「えっ………あー例えばだよ(汗)」
慌てた様子でそっぽを向く高嗣の頬が、少し紅くなっていた。
「クスっ、ありがとね。私、もう寝るね」
高嗣「おう!俺も寝るわ。おやすみ」
「おやすみ」
部屋に戻り、高嗣にもらったキャンディをそっと握りしめる。
何だか心の中が暖かくなった。
この時はまだ気づいてなかった。
この気持ちが"恋"だって……
彼氏には感じなかった気持ち。
私が高嗣に恋をしている事に気づくのは、もう少し先のことだった。