第6章 ピアスを開けて
ピアス開けたいな。
ずっとそう思ってはいるけれど、自分で開ける勇気もなければ医者に行ってやって貰うなら自分でやった方がいいと何処か踏ん切りのつかない自分がいる。
あ、そうだ。
ジミンに開けてもらえばいいんだ。
だってほら、ジミンだってピアス開けてるしね。
・
その日の夜。バイトから帰ってきてソファに座ってスマホを弄るジミンの横に座って、ピアッサーを差し出してみた。
「ねえ、ジミン。ピアス開けて?」
するとジミンはスマホをテーブルに置いてこっちを見る。
『なに?お前ピアス開けたいの』
そう尋ねてくる彼の表情は、若干の戸惑いを含んでる。
「そうなの!ピアス開けたい」
『それで勇気が出なくて俺に頼んだわけだ』
なんてふふっと笑いながら図星をついてくる彼。
そんな彼は、私が差し出したピアッサーを手に持ってそのままキスをしてきた。
「...ふ、っ」
『ちゅ、っ』
お互いの吐息が静かなリビングに響く。
キスはだんだんと私の身体を熱くし、激しさを増した。
『っ、...は、』
ジミンの色っぽい吐息を最後に、口が離される。
どちらのものか分からないけれど、銀の糸を引いていてすごくかっこいい。ジミンは私の腰を抱いてもう一度身体を近づけると、また唇を重ね合わせてきた。
最初は啄むようだったキスが、また荒々しくなって。
息がしづらくなってきた時。
...バチン、と。
音が鳴った。
「え、?」
戸惑う私を他所に、また妖艶に微笑むジミン。
『お前が蕩けてる間にピアス開けるの簡単だわ』
なんて言って、
『痛くなかっただろ?』
ってファーストピアスをはめてくれる。
「うん、全然怖くなかった...」
『じゃあ今度はキス無しで開ける?』
なんて、もう一個のピアッサーを耳に押し当ててくるから、咄嗟に自分からジミンの唇に自分の唇を押し付けた。
待ってました、と言わんばかりに後頭部を支えられて、私の中に彼の熱い舌が入ってきた。
それは、歯列をなぞり私の身体をドロドロに溶かすには十分すぎるもので。
バチンという音と共に私の耳に、待た新しい穴が開いた。
~ fin ~