LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第18章 《及川》バレンタインデー・キッス
「…違うよ。」
「え?」
「これも、落ちたやつも、今日もらった何十個のお菓子より、ナギちゃんのチョコレートが欲しい。」
いつもの、及川先輩とは違う、私の見たことのない先輩。
ボールを見る時の鋭い視線が、でもどことなく優しい視線が私をじっと見つめていた。
「私、でもっ…、」
マネージャーだから、ずるいって思ってた。
私が及川先輩を好きになったらいけないって思ってた。
みんな、及川先輩が大好きだからって思ってた。
「俺は、ナギちゃんがいいんだけどなー。」
急に見せた明るい笑顔に、私の心臓はこれまでにないほど跳ね上がった。
もう隠せない。
及川先輩が好き。大好きなんだ。
「私、ダメだと思ってたから…、チョコレートなんて用意してなくて…、」
「うん、じゃぁこうしよう!」
「…!」
…え?
と、声を上げようと上を向くと、ちゅっ、っとリップ音を立てて唇が重なった。
「ごちそうさま。」
そんなきらっ、って効果音が着きそうなほど素敵な笑顔を向けられたら…、
もう私、今までにないくらい幸せです!!
「さっ、カラオケ行こ!及川さん、バレキス歌っちゃうよー。」
「…明日、朝練があるのでダメです。帰りますよ!」
私は、赤い顔がばれないように…後ろを向いて腕で口元を覆い隠した。
及川先輩はそんな私を後ろからぎゅっと抱きしめてくれた。
「ナギちゃん、大好きだよ。」