LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第5章 《白布》君にチョコを渡す方法
「ねぇ、賢二郎。」
「なに?」
「好きなお菓子ある?」
俺の彼女は凄く分かりやすい。
「なんで?」
「え!?何でって…ちょっと気になっただけ!!なんかないの…?」
「塩味のポテチ。」
「違う!!!しょっぱい系じゃなくて甘い方です!!!」
1月も中頃。
ようやく正月気分が抜けた世間は、1ヶ月後に控えるバレンタインデームードを早くも醸し出していた。
街に出れば至る所で綺麗な包装紙に包まれたチョコレートが店に並び、教室では女子たちがチョコレートやケーキのレシピを相談しあい告白の算段を立てる。
俺の隣にいるコイツも漏れなくそんな雰囲気の中にいる一人で、そわそわとそんな質問をしてくるもんだから、俺は分かっていながらもワザと意地の悪い返事をした。
「…………最中。」
「うそだ…そんなの食べてるところ見たことない!!!」
「なんだよ、めんどくせーな。じゃあ、ポッキーでいい。」
「"でいい。"って何よ!!一番好きなやつ教えて!!!」
「お前。」
その瞬間、顔から火が出たみたいに真っ赤にして固まったナギは、言葉も出ず、開いた口も塞がらず、その場に立ち尽くす。
(もう付き合ってんのに、わざわざ内緒にする意味あんのかよ。)
そう冷静に思いつつも、必死で探りを入れてくる所がやっぱりコイツらしくて…。仕方なく当日までは気付かないふりをしてやろうと、今し方俺は密かに心に決めた。
「何照れてんだよ。」
「て、照れてない!!!」
「あそ。ほら、部活行くぞ。」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
付き合いはじめたあの夏からもうすぐ半年が経とうとしていた。
付き合うと言ってもお互い部活最優先の生活は変わらなくて、周りにバレると面倒だから誰にも言うなと賢二郎に言われているせいで、恋人っぽい感じの事は日頃ほとんどなく…。正直今までとなんら代わり映えのしない毎日が続いていた。