LOVE*CHOCO*KISS‼︎ 〜HQバレンタイン企画〜
第1章 【SS】灰羽リエーフのバレンタイン
「ナギさん!!俺にチョコ下さい!!」
「え…?」
「ナギさんの本命チョコ、俺が貰いたいです!!」
「いや、あの、私誰にもあげる予定無いけど…」
「そこをなんとか!!」
数週間前の後輩とのそんな他愛ない?会話は、なかなか頭から離れてくれず、私はまんまと手作りのバレンタインチョコレートを作ってしまった。
当日、部活が始まる前に、当の彼を呼び止める。
「リエーフ!」
「?どうしたんですか?」
「えっと…あの…。この前チョコ欲しいって言ってたから、コレ…作ってきた。」
よくよく見れば、彼の手には義理か本命かは分からないが、チョコレートがめいいっぱい入った紙袋がぶら下げられていた。
(そっか…リエーフって、普通に格好いいもんね…。チョコくらいもらうよね…。)
どうしてだろう。そんな簡単なことすら想像せずに、私は自分のチョコレートが彼にとってたった一個の特別なものになるって勝手に思い込んでしまっていた。
「えーっと…あまりいらなかった、かな?ゴメン、なんか私、勝手に思い上がって…」
「くれるんですか!?俺に!!」
「え、うん…そのつもりだったけど…」
澄んだエメラルドの瞳が強く私を見つめ、大きな掌が私の両肩を掴む。
ドサッーーー
彼の手にあった紙袋が落ちて、綺麗な包みが床に散らばる。だけどそんな事は気にもとめず、リエーフは口を開いた。
「それって、少しは期待して良いって事ですよね?」
「…………う…うん。」
私の返事を聞いた瞬間、彼の瞳の色がキラリと輝きが増す。好きかどうかなんて、正直分からない。だけど、この瞬間、私の恋は確かに動き出した。
大きな掌が、私が抱えていた包みをゆっくりと受け取る。
「俺が一番欲しかったやつ!」
いつもの太陽みたいなとびきりの笑顔に、不思議と胸は高鳴り、ドクドクと音を立てる。
(あれ……どうしよう…こんなはずじゃ……)
「ナギさん!」
「俺、もう遠慮とかしないから、覚悟して下さいね!!!」
「か、くご?」
その瞬間、突然の唇に柔らかいものが触れる。
「俺の事で、ナギさんの頭の中いーーーっぱいに埋め尽くすんで!覚悟してくださいね?」
終。