第4章 最後の希望 (閑話)
「何をやっていると聞いているんだ……」
『エル……ヴィン……、』
ちらっとリヴァイに視線を送ると、またロドリーに冷たい視線を向けた。
「これは、これは……、シャーディス団長の補佐役、及び分隊長のスミスさんでしたか。"何をやっている"とは此方の台詞では……?此処は私の寝室ですが」
リヴァイの上から退け、惚けるロドリーをエルヴィンは壁に勢いよく押し付けた。
「ぐっ……!!」
「分かってはいると思うが……、リヴァイは調査兵団にとって、いや我々人類にとって居なくてはならない存在だ。無論、お金等で買える価値ではない。お前はそんな価値ある貴重な兵力を削ごうとしている。それが一体どういう事か分かるか……?それは、」
エルヴィンはロドリーの首に押し付ける腕の圧を強めた。
「ぐがぁっ……ッ!!」
「"我々調査兵団を敵に回す"、という事であり…………、"俺に今此処で殺される覚悟がある"、という事だ」
そこまで言うと、エルヴィンはロドリーを解放した。
「ゲホッ……、ゲホッ……!貴方は本当に僕を殺す気か……ッ!」
「あぁ、本当に殺す気だ。お前がその意見を変えないならな」
ロドリーは咳き込み、涙目で首を抑えながらエルヴィンを見上げる。
「貴方が僕を殺すと言うのなら、貴方達だってガナード家や貴族を敵に回す事になるんだぞ……っ⁈」
「あぁ、当然だ。俺はその覚悟で此処に居る」
「はっ……?それが人類の為に心臓を捧げた兵士だとでも言うのか……?」
「そうだ」
「ははっ……、そうかよ……」
エルヴィンは床に俯き座り込むロドリーを見下ろす。
「貴方達は噂に聞いた通りやっぱり変人集団だよ……」
「……、」
「人類に心臓を捧げる……?自分の幸せより他人の幸せの為に……?英雄気取りかよ……、反吐が出るね」
「君は何か勘違いをしている」
「勘違いって……?」