第5章 5話
(相澤)
「思い出させたの俺のせいじゃねぇか...本当に悪い。」
(彩夏)
「もーいいって!
あ、それより、何が起こったの?警報が鳴るくらい。」
相澤の気分を変えさせるために彩夏は話題を変えた。
(相澤)
「あぁ、その事についてなんだが。
侵入してきたのは報道陣だ。だが校門が異常な崩壊の仕方をしてた。
おそらく、敵の仕業だろうな...
校長とも話し合ったんだが、お前校舎内以外の授業は出るな。...頼む。」
そこまで言い終えた相澤は彩夏に頭を下げて懇願した。
(彩夏)
「...私を知ってるかもしれない人が居ると根津さん達は睨んでるってことだよね?」
(相澤)
「あぁ、そういう事だ。校舎内にはプロヒーローは沢山いる。
だが、校舎内から出て違うところで実習とかになると俺がすぐに行けないだろ。合理的に頼む。」
私に頼み事をする時でさえも、消太にぃは自分のポリシーである“合理的”を曲げて私に頼む。
けれど、私に“合理的”という理由で頼み事をするのは初めて。
そこまでして私に校舎内から出て欲しくないのか、とひしひしと感じた。
(彩夏)
「...わかった。明日のヒーロー基礎学の時も私行かないでおく。
その代わり。ね、消太にぃ。あの約束覚えてる...?」
(相澤)
「!
あぁ。覚えてる。」
相澤は彩夏に抱きついた。
(相澤)
「絶対、そんなことにはさせない。」
(彩夏)
「消太にぃ...ありがとう。
でもね、この世には“絶対”はないんだよ─────」