第1章 1話
...持ってる...
この歳でとか
何度も影で言われて。
でも、国からの命令には逆らえない。
私が敵にならないように。
そのために消太にぃと頑張った。
お互いの手を握る手に力が入る。
今から言われることが思っている未来と違っていることを、願うように。
(彩夏)
「...はい。」
(根津)
「国から要請が来たのさ...!
ヒーローになれと。」
やっぱり。
私は死ぬまで国の道具。
チート個性だから国に監視され、敵に疑われ。
本当の私はもう“あの時”に死んじゃったのかもしれない
お父さんやお母さん
姉さんのように。
彩夏は歯を食いしばり無意識のうちに歯ぎしりをする
(相澤)
「それ...
要請じゃなくて、命令...ですよね。
これ以上彩夏を傷つけて本当にヴィ──────」
(彩夏)
「消太にぃ!!!やめて!!
大丈夫だから─────
いいよ。
もう、私
ヒーローになる」
(相澤)
「彩夏!!!
いいのか...?」
(彩夏)
「しょうがないよ。お父さん、お母さん、姉さんだけじゃない。
私ももうあの時に死んだに等しい
私は、あの人達と同じ道を辿らないといけない。
罪を償わないと。
私みたいな人を作らないようにする為にも。」
(相澤)
「彩夏....」