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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第16章 それぞれの真実






「来ると思った!!」


アンダーテイカーの読み通り、セバスチャンはシエルの命を守るため、悪魔の力の限りを使い瞬時に向かってきた。


すると、アンダーテイカーはフロアの方にシエルを何の躊躇もなく放り投げてしまった。


ここは階段の踊り場だがそれなりに高さがある。

このまま床に叩きつけられれば死にこそしなくても大怪我は免れないだろう。




セバスチャンは、主人のピンチを救うべく飛んできたのだが、その小さな身体が軽々と放り投げられ、自分が向かっているのとは逆方向にシェルが飛んでいくのが右の視野に入ってきた。



「う、うぁ……!」


突然の浮遊感にシエルは戸惑い咄嗟に手を伸ばす。


セバスチャンがこの手を取ることを信じて。




しかし互いの手が触れ合う寸前…



「セバスチャン!!」



シエルの青い瞳に映ったのは、セバスチャンの背後を狙って大鎌を振り下ろすアンダーテイカーの姿。



「ヒッヒッ!たいした忠誠心だねェ!!でも背中がガラ空きだ……」



「……グッ!!」



ドスンと肉を裂くおぞましい音と共にセバスチャンは大鎌の刃に刺し貫かれ、大量の血飛沫を上げた。



「…グハァッ!!!」



「弱くて脆いけど、ヒトの命を引きずるのは結構大変なんだよ、執事くん…前から興味あったんだよねェ…害獣風情が何故お仕着せで執事なんかしてるのか、見せてもらうよ、君のレコード…」




すると、セバスチャンの身体からシュルシュルと無数の帯状のモノが飛び出してきた。




「(あっ……あれは………)」




それは、切り裂きジャック事件の真相を見に行った時、マダム・レッドの身体から出てきたモノと同じモノだ。


これはセバスチャンのシネマティックレコード。


よく目を凝らして見てみれば、マリアンヌにもそこに記録された映像を見る事ができた。



「(あ……あぁ……)」



見えてきたのは、まだ幼い顔立ちのシエルと、仮面を付けた派手な出で立ちの大人達、そして真っ黒な影だった。



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