第15章 その瞳の燐光
「確かに、この動く死体を造り出したのは小生だ。」
「なんのために!!」
ーなんのためにー
アンダーテイカーは少し考える。
何のためにと聞かれれば、それは勿論マリアンヌのためだ。
シエルから支払われたフェニックスポーズでの報酬はかなりの高額になる。
しかし、セバスチャンがマリアンヌに手を触れた事に関しての対価はまだ未払い。
そうなると、洗いざらい全ての事をシエルに話してしまうのは平等の取り引きとは言えない。
アンダーテイカーは自身の本心を隠しながらうまい具合に話を進めていく事にした。
「そうだねぇ…最初は多分…ただのヒトへの好奇心だった。」
アンダーテイカーは唇を付けた愛しいマリアンヌの手を握りながらポツリポツリと語り始めた。
「……だけど、死神としてそんな毎日を長い間送っていた小生はある日考えたんだ。」
「…!?」
「エンディングの続きがあったらどうなるんだろう?ってね。魂を失い終わりを迎えた記憶に続きを繋いでやったら肉の身体には何が起こるのだろう。何せ死神が狩るのは魂だけ。「肉体」も脳にある「記憶」もこの世に残っている。」
「まさか…アンタ走馬灯(レコード)を編集したって事?」
「ヒッヒッ…さてね、自分の能力で彼らのレコードを見てみたら?」
「…ったく面倒くさいワネ…」
グレルは舌打ちしながらも近くにいた動く死体を、自慢のデスサイズで切りつけレコードを見た。
すると……
「な、何よこれは!!!」
「これは…」
「イ〜ヒッヒッ……」
レコードのENDマークの後からはアンダーテイカーが作ったフザケた映像が繋がれていた。
「死と共に訪れる走馬灯のENDマークは、こうして小生が偽の記憶を繋いだ事によって永遠に訪れなくなった。そうしたら…なんと「まだ人生が続いてる」と勘違いした肉体部分は魂を持たないまま再び活動を始めたのさ!!」