第15章 その瞳の燐光
ーガシャーーーーーン!!!ー
ラウンジ一体には硝子の破片が飛び散っていて、キラキラと鋭利に光り輝いている。
「……マリアンヌもそう思うだろう??」
「(……え?!)」
シエルに向けていた視線を外し、アンダーテイカーはマリアンヌの全身を隠していたガウンからその姿を出すと、スッと顎を掴んだ。
「(……えっ?)」
「小生はこの世から笑いが消えてしまうのは寂しいなぁ〜」
ため息をつきながら自身の身を屈めると、アンダーテイカーは愛しいマリアンヌの唇を奪った。
「「!!!!!」」
ラウンジの中央でギャラリーのいる中堂々と濃厚な口づけを披露するアンダーテイカー。
「(……ん、んん……)」
マリアンヌを始めとする周りもの者たちも、驚きを隠せなかった。
しかしこの状況でアンダーテイカーが女とラブシーンを披露した事もそうだが、彼らが驚いたのはそれだけではなかった。
「上手に気配を隠してましたね。“瞳”も隠されていたので私も気づきませんでした。」
「アタシもヤラれたわ!!」
「先輩!あの瞳…」
「えぇ、あの黄緑色の燐光は間違いなく…死神!!」
「ヒッヒッヒッ…」
死神と呼ばれるとマリアンヌから唇を離し、笑い声を上げるアンダーテイカー。
「懐かしいねェ、そう呼ばれるのは半世紀ぶりだ。」
「アンダーテイカーが…死神?!」
今まで気味の悪い葬儀屋兼情報屋だと思っていたアンダーテイカーが死神…
目の前で妖しく黒いオーラを纏いながら不敵に笑うアンダーテイカーに戸惑うシエル。
すると、背後から鬼気迫るどなり声が聞こえてきた。
「どういう事だアンダーテイカー!!この装置があればあの死体は制御できるって言ったじゃないか!」
「そ〜だっけ〜?」
「!?騙したのか…嘘だったのか!?完全救済を広めにアメリカに渡るって話も全部!!」
怒りをあらわにするリアンとは正反対に、アンダーテイカーはニヤニヤと楽しそうにマリアンヌの肩を抱きながら答えた。