第13章 愛しているから不安なのです
やっとの事でラウンジに着くと、マリアンヌは紅茶とケーキのセットを、アンダーテイカーはお決まりの特大パフェを頼むと、満足そうに頬張った。
「マリアンヌも一口いるか〜い?」
「(い、いえ…私は大丈夫です…)」
顔に似合わず超がつく程の甘党アンダーテイカー。
もう何度も見ている光景だが、何度見てもミスマッチだ。その上美味しそうにたいらげていく姿を見ているだけで、マリアンヌも自然とお腹いっぱいになってしまう。
注文したのは小さなケーキ1つだったが、パフェを頬張るアンダーテイカーでマリアンヌは十分に満腹になれた。
そして、豪華なシャンデリアが美しかったラウンジでゆったりと休憩をした2人は、船内を少し歩くとデッキに出たようだ。
「あ、やっぱりさっきよりだいぶ空いたね〜。」
「(そうですね…)」
船が出航した時は皆見送りや野次馬に対して手を振っている客で、しばらくごった返していたが、昼も過ぎると人もまばらになっていた。
「ほら、御手をどうぞ、小生の大切なお姫様。滑りやすいから気をつけて。」
「(あ、ありがとうございます…)」
アンダーテイカーのスマートなエスコートにどうしても心臓が高鳴ってしまう。
そんな自分を悟られまいと、必死に平静を装うが、デッキから飛び込んできた景色に驚いたマリアンヌは、別の意味で心臓が騒ぎ出した。
「(す!すごい!!!!)」
雲ひとつ無い快晴の青空にどこまでも深い青い海。
そして初めて見る水平線。
マリアンヌは大きな白い飛沫を上げて進む豪華客船カンパニア号に一気に興奮状態だ。
「マリアンヌ、海を見るのは初めてだったかい?」
「(は、はい!!海を見るのも、水平線を見るのも、波を見るのも初めてです!!凄い素敵な景色ですね!!キレイです!!)」
マリアンヌは柵に手をつくと、身を乗り出すようにしながらどこまでも続く青い海を見つめた。