第12章 ヤブレ血マミレ処女航海、いざ出航
「ほら、これでもう大丈夫だよ。スカートもパニエも汚れてないからこのままラウンジに行っても、誰も小生達がしていた事には気づかないよ。ヒッヒッ…」
そう言いながら、少し乱れてしまった髪には櫛を入れて整えてやる。
「(………)」
「髪の毛もこれで大丈夫だね……ん?どうしたんだい?」
顔を赤くし、俯いたままのマリアンヌ。
どうしたのだろうか。
「(ア、アンダーテイカーさん酷いです…)」
「えぇ?!」
「(いつもいつも!いっっっつも…どうしてアンダーテイカーさんは私の心をドキドキさせるんですか?どうしてアンダーテイカーさんだけこんなにいつも余裕なんですか?どうして!?どうしていつも私ばっかり心乱されて…)」
なんだか頬を膨らませてプリプリと怒り出したマリアンヌ。何故いつも自分ばかり振り回されるのだと言いたいのだろう。
本人は至って真面目に怒りをあらわにしているが、アンダーテイカーからして見ればそんな姿でさえも愛おしい。
「(もう…どうして私ばっかり……)」
まだまだ言い足りないと指を動かすが、アンダーテイカーは書き綴っている指ごとその手を包み込んでしまうと、柔らかな視線で見つめながら答えた。
「心外だなマリアンヌ…それなら小生にも教えておくれ。何故マリアンヌはそんなに可愛いんだい?どうしていつも小生の理性を壊してしまうんだい?心乱して戸惑っているのはマリアンヌではない…小生の方だよ?」
そしてマリアンヌの手を両手で包み込んだまま顔を近づけると、唇と唇が触れてしまいそうな所でピタリと止めた。
「小生はマリアンヌの可愛さを前にすると、理性も余裕も簡単に崩壊してしまう。マリアンヌはそれだけ魅力的なレディなんだ。お願いだからちゃんと自覚をしておくれ?じゃないと、悪い虫達がどんな悪さをするか分からないからね〜」
「(あっ…そんな……)」
マリアンヌはまだ何か言いたげだったが、唇に触れるだけの軽いキスを落とすと、アンダーテイカーは、その手を引きラウンジに向かうため部屋を出る。
「ビャク〜!悪いけど、留守番を頼むよ。」
『クルルル…』
2人の激甘なやり取りに胸焼けを起こしかけたビャクはやれやれとため息をつきながら2人を見送った。