Sapphire〈小悪魔系男子にご注意asobase?〉
第54章 告白⑧
翔「あの2月まで……」
カズ「これも……『必然』『奇跡』? 俺と翔ちゃんの引っ越し先があの歩道橋を挟んで《aikeiの里 》を、右側に行くと翔ちゃんの家。その反対左の方へ行くと俺の家。車でも1時間も掛からない場所に引っ越しただけだったんだ」
翔「あの『本屋の歩道橋の先向こう側には行っちゃいけません』ってお母さんに言われて……」
カズ「成る程…… 潤くんも言われたって。本屋と歩道橋の近くに潤くんの家あるからね。そして俺も『歩道橋の先はダメ』って…… しっかり大人の言う事を守って俺達」
右手の人差し指で、こめかみを軽くトントンしている翔ちゃん
そうだよね
カズ「翔ちゃん? 大丈夫頭痛い?」
俺の言葉と同時に、頭痛薬かな? 取り出して
ぇ? カフェラテで頭痛薬飲んじゃって大丈夫なのかな?
けど、それよりも話を聞きたいって感じに見えたから……
カズ「劇団。今の住所に移転して、さっき話した友達にね、ストーリーとか、演出とか音声データに残して。紙面にも思いついた事書いて。そいつに託してさ」
翔「何でそこまでして……」
カズ「好きな人の為」
翔「ぇ?」
カズ「色々と近所の人達とかに、世間話程度に 『ナンか気になる事あったら、この事務所に連絡下さいよ!』とかさ。俺も潤くんも、油断してた…… そんな時に、あの雪の日の事件の日が…… 俺は何の為に探偵になったんだ? 翔ちゃんと逢う為…… 守る為だろ!! なのに…… 守れなかった!!」
俺…… 悔しくて……
顔覆って、溢れそうになる涙を
必死に堪えていると……
翔「その後、マタ私の為に。二宮さんはどういう手段か分からないけれど、aikeの里に入所して。学校にも転入と言うか潜入して。この4ヶ月位ずっと守って下さってたんですね? それは、潤さん、相葉先生、智さんも」
カズ「その為に、本業の探偵の方を知らせてなかった俺に、不信を持ったあの女…… 翔ちゃんを…… 俺がaikeiの里の近くに劇団を移したりしたから。想像すれば…… 予想出来たのに…… 俺は危険をわざわざ手繰り寄せて…… 探偵とは名ばかりで! あの女が! 翔ちゃんに近付いて。居場所を突き止めて。手紙まで! …… そんなになるまで放っといた! 俺が…… 大事な翔ちゃんを傷付けた!」