Moonstone キミはキミだよ【Kazu.N】
第35章 必要ない人はいない
翔side
(私の存在意味は?)
翔「私って必要?」
カズ.智.ゆな「必要!」
翔「え? あ!」
ゆな「声に出てたよ。必要に決まっているでしょ!」
ゆなちゃんがチョッピリ呆れたように怒ったような声音で言うと
カズ「俺にとっても必要な人だよ」
(二宮センパイ…… )
智「必要! オイラにとって! 母ちゃんも父ちゃんも同じだよ!」
(二宮センパイの必要っていう言葉、後で思い出して嬉しくて……でもその時は)
翔「だって、だって領さんは。智さん!」
カズ「領さんって?」
翔「あの……」
智「翔ちゃんいいよ。領は俺の二つしたの弟。二宮くん、封建的な大人たちから見てはみだし者の俺と従順な領どちらが必要とされると思う?」
カズ「……従順な領さん」
智「分かった? オイラの父ちゃんの親戚たちはどうしたと思う? 代々医者家系で、父ちゃんが期待から外れた上にオイラには医者は嫌だって言われたらさ」
カズ「領さんに期待する?」
智「正解。小さい時からずっと、オイラはコイツはダメだって思われてた。領は母ちゃんの努力で唯一交流が回復した父ちゃんの親戚から期待してるって言われてきた」
翔「智さん!」
堪らなくなって叫ぶと、智さんは穏やかに微笑みを称えたまま
智「10才の翔ちゃんに貴弘さんを見させろ! あり得ない話に、あの親戚同士の揉め事に首を突っ込んで……父ちゃん母ちゃんが怒って交流をふたたび閉ざしたはずななのに……」
カズ「翔ちゃん辛かったね……頑張ったね」
(二宮センパイは凄い人だ。智さんは親戚の事言いたく無はずなのに……凄い人。私が言わなくちゃならないのに……)
智「二宮くんありがとう。親戚樣達は隠れて……領に」
カズ「領さんには翔ちゃんの親戚の……御免なさい悪口を翔ちゃんには貴弘さんに逢いに行かせた?」
智「二宮くん御免なさい。オイラ……俺が言うべき事言わせて翔ちゃん!」
翔「はい……」
智「翔ちゃんは何も言う必要無い人だよ。親戚の下らない揉め事、面子に巻き込まれた被害者なんだから。謝らないの! 分かった?」
"うゎーん"
涙止まらないの。今まで 『貴女は何度悪くない』って言われてもそう思わないようにして
なのに、私悪くないのにって心の中で思ってて……