第2章 からあげ
ホントにイライラする。
「分からないのを良いことに、そうやって人を小馬鹿にして、恨みを買って闇討ちされても知りませんから」
「そうだな。その機には相手を返り討ちにでもしてやるか」
まだフーフー言ってるハロルドを思いきり睨み付けて、その場を立ち去ろうとした時、通りすがりで光秀さんに肩を叩かれた。
「どうやら『からあげ』とやらは無かった様子だな?」
「な...っ、何でそれを..っ」
「先刻、美穂に会った。家康にからあげを頼んだのですと嬉しそうに話していた」
「chiccccken!Fried chiccccken!!Foooooooッ!!」
「黙れよ、うるさいな」
「ハロルドも好きなんだそうだ」
「は?」
変なのも好きって....。
美穂は絶対やらないから。
「からあげがな」
そっちか。
意地悪く笑う光秀さんに、一杯食わされそうになったのか。ホントにこの人はいけ好かない。
「Fried chicken、イエヤッサンガ、ツクルンデスカァ?」
「作らない」
「美穂の頼みだろう?」
「鳥が食べたきゃ、丸飲みでもなんでもすればいいでしょうが」
「イエヤッサン、ヨクナイデス」
「は?」
「Gentlemanタルモノ、Ladyニハヤサシクスルモノデス!」
「何言ってんのか分かんないんだけど。ふがふがしないでくれる」
「紳士は淑女に対して優しくしろ、ということらしい」
「しんし?」
「男のことだろうな」
「ワタシガ、Fried chickenノツクリカタヲオシエマス!」