第1章 からいもの
「ずいぶん考え込んで、どうした?」
「...別に。何の用ですか?」
「用は特に無い。遊んでやろうと思っただけだ」
本当にこの人は腹の立つ。
用がないならわざわざ話し掛けて来なきゃいいのに。
「何だ、不服か?もっと遊んでやってもいいんだぜ」
「断固お断りします」
不機嫌が顔に出たのか、政宗さんが意地悪げに口の端を吊り上げる。一瞬でもこの人に『からあげ』の相談をしようかと思った自分にも腹が立つ。
「用がないならもう行きます。暇じゃないんで」
今はこの人より『からあげ』だ。
踵を返した後ろで政宗さんが何か言ったような気もしたけど、構うもんか。