第3章 手と手
「......私ね、まだ母親じゃないの、きっと」
「え?」
「だって、初めてだらけだもん。まだお腹に赤ちゃんがいるんだって信じられないくらい」
「これだけ膨らんでも?」
「そうよ、だってまだ会ってないもの」
この子が産まれてくるまで、私がこのお腹でちゃんと守るから、家康は私を守って。
この子が産まれたら、私と同じくらいこの子を愛して。それで二人まとめて守って。
今日とそう変わらない明日は、もう来ないかもしれない。毎日毎日、予想外のことが起きて、あたふたするかもしれないって、本当は不安で仕方ないの。
不安が当たって、哀しいことが起こったらどうしようって、本当は怖くて仕方ないの。
その不安も、怖さも、家康が手を繋いでくれたら平気になるの。私だけじゃないんだって思えるの。
だから。
だからね
「これからさ、二人で一緒にこの子の親になろうよ。のんびりだっていいじゃない?何か、その方が私たちらしいよ」