第1章 1
「もうお風呂に入って休みたい」
カクテルドレスを身にまとったお嬢様が、
気怠げにいった。
今夜はパーティーへ招待され、お嬢様とふたりで出席していたのだ。アルコールも入り、数曲ダンスも踊ったので疲れたのだろう。
オレはお嬢様のドレスを脱がせるため、背中のファスナーに手をかけた。
むき出しの白いうなじが目に飛び込んでくる。
このドレスを本当はベッドの上で脱がせたかった。
しかし、お嬢様の様子を見ると今夜は相当に疲れているようだ。
今ベッドに誘っても、すげなく断られるのがオチだった。お嬢様はそういうところはハッキリしている。
それがオレの好きなところでもあった。
「ありがとう、川島。お風呂わいてるよね?」
「もちろんです、お嬢様」
空いたドレスの隙間から白い背中が覗いている。
その背がオレの手から離れていくのを、名残惜しく感じながらお嬢様をバスルームへ送り出した。
いつものようにバスローブを用意しようとして、ふと気づく。
そういえばお嬢様は、風呂のあとはいつもバスローブ姿だった。自分はバスローブなど羽織ったこともない。
すぐにはだけるし、なんとなくきちんとしていない感じがして、いつもパジャマを着ている。
だが、お嬢様はバスローブがすきなようだった。
理由を尋ねると、脱ぎ着するのが楽だし肌触りがいいからだといっていた。
お嬢様を抱きしめるとき、バスローブは確かに触り心地はいい。ふかふかのぬいぐるみを抱いているようだ。
だが男のオレからすると、脱がせる楽しみが今ひとつ少ないように思う。
ボタンだったらひとつひとつはずしながら、お嬢様の反応を楽しめる。
下を脱がせる工程もある。
加えて、お嬢様はバスローブの下にブラをつけない。
それも抱いていて気持ちいいのだが、脱がせるという点でやはり楽しみに欠ける気がする。
想像してみる。
お嬢様にオレが選んだ下着をつけさせて、おそろいのパジャマを着させる。
色違いでもいい。
そしてそれを剥ぎとる。オレのベッドで。
湯あがりで温まったお嬢様をやさしく抱きしめ包み込む。オレとベッドは花のような香りにふんわりと包まれる。
お嬢様の髪に、額に、まぶたに、頬に、唇に、愛おしく口づける。
柔らかいキスをしながら、ゆっくりひとつずつパジャマのボタンを外す。