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誘華

第4章 蓮巳/白い花


「鬼龍の奴、度し難い…」
「敬人さん、そんなに怖い顔してるとお綺麗な顔が台無しですよ?」
「したくてしてるわけではない」

 撮影を終えて、事務所で事務仕事をするために戻った。別の場所で撮影を終えてのんびりしていたゆめが茶を出してくれた。

「まさか鬼龍と水瀬が出来ていたとは…」
「そうなんですか? おめでたいですね」
「それはそうだが…鬼龍もよく目の前で自分の女が抱かれたのに何も言わなかったことを思うとな…」
「プライベートで補ってるんじゃないですか? 私たちみたいに」

 首を傾げながら言うゆめの言葉に少し納得してしまった。
 たしかに俺もゆめとの交際は公言していない。むしろ仕事以外で恋人の時間を楽しむ。仕事でも多少楽しませてもらう時はあるが…

「にしても、水瀬さんですか…先日の3Pは盛り上がったんじゃないですか?」
「どちらにも興奮したことについては否定はせんが…」
「手業の敬人さんと腰使いの鬼龍さんのお二人をお相手された水瀬さんはきっと色気たっぷりトロトロですね!」
「なんだ、ゆめ。もしや混ざりたかったか? それとも…」

 ゆめがにやけながら言うものだから腰を抱き寄せて、膝にのせ、耳元で言った。

「貴様も激しくされたかったか?」
「いきなり耳は反則ですっ」
「好きだろ?」
「ぁ…んっ」

 耳元をいじめつつ、事務仕事をしていると扉が開いた音が聞こえた。ゆめが逃げようとするが、片腕でゆめの腰を抱いているため逃げることはできない。一応耳からは離れておいてやった。

「蓮巳さん、束間さん、お疲れ様です」
「あ、梓川さん、お疲れ様です」
「今日はグラビアじゃなかったか?」
「グラビアに見せかけたAV撮影です…」

 入ってきたのはゆめと同期で女優をしている梓川だった。ソファに座り込んでいるあたり本当に疲れたのだろう。

「それなら直帰すればよかっただろ」
「舞台の脚本が届いてるって連絡があったから取りに来たんですよ」

 梓川はAVと舞台とで芸名を変えている。気づく者もいるがそれでどちらからも仕事が入ってるのは梓川の努力の証拠だ。

「あ、あった」

 立ち上がった梓川をゆめは追いかけた。いったいどうしたのかと思いつつ、俺は書類の仕事に戻ろうとしたのだが…
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