第1章 好きなのに。
「はよ」
朝。風磨はいつものように私を自転車で迎えに来た。
「いつもありがとうございます」
私は荷物を預けて自転車の荷台に腰掛ける。
「じゃぁ行きますか」
「はい!!」
風磨がこぐと同時に、私は背中にしがみつく。
「咲子....」
「なに?」
「重くなったね」
「うるさいっ!!」
「冗談だってば笑」
こんなふざけ合いも日常茶飯事で。
いざ学校に着くと______
「お客さん!料金払ってもらわないと!!」
「いつも払ってないじゃん。てかお金ないし...」
またまたふざけ合いがはじまる。
「それは困りましたね....じゃぁ、ここで」
「ここで」風磨が指差したのは________唇。
「バカじゃないのっ」
「へぇ?もう乗せてってあげないけど...いいんだ?」
妖しい微笑みを浮かべる風磨。
「.....ったく....」
私は風磨の唇に軽くキスを落とした。
「まいどあり~」
これが私たちの日常。
幸せな時間。
ふざけあって
意地悪な風磨だけど
すごくすごく大好きで_______。