第5章 おさわり厳禁(佐助編)
布団の中で目が覚めて、朝が来たと分かる。
チラリと横を見ると、可愛らしい寝息をたてながら小さくなる恋人の姿が目に入る。
あぁ…今日もまた。俺は悩まされる。
「あれ…もう朝かな?」
「おはよう玲奈さん」
そう、恋人の玲奈の事なのだ。
恋人になったから、一緒に寝るようになったのだが…
寝てはいるが、寝てるだけなだ。
まさに生き地獄。恋人が隣で寝ているが、手を出す事も出来ないなんて…。
佐助も誘おうとするのだが、残りの一歩が踏み出せず。
華奢な玲奈を壊したりしないか、そんなことを考えてしまって、手が出せないでいるのだ。
「佐助くんの匂い。私好きだなぁ…」
そんな煽り文句を言われ、更に拍車をかけるようにぎゅっと佐助の背中を抱く。
玲奈は無自覚だろうが、玲奈の胸が佐助の背中に当たっているのだ。
(玲奈さん…胸が、胸が、大きすぎるんだっ!)
フニフニと当たる玲奈の胸に健康男子の佐助にとってはあまりにも刺激が強い物だった。
だから毎日毎日、心の奥底のドロドロしたものを必死で抑えていた。
一呼吸置いて、いつもの冷静な顔を装いくるりと玲奈の方を向く。
「俺も玲奈さんの匂いが好きだよ…」
「佐助くん…大好き」
そう言って佐助の胸に顔を埋める。
うわぁ!と叫びそうになるが必死に抑える。
そして、佐助の下半身が限界にきていた。
「玲奈さん、俺、色々まずい。」
「佐助くん?」
佐助がガバッと起きると、逃げるように部屋を出て行った。
(玲奈さんっ!朝から刺激が強すぎるっ!)