第2章 ミサンガの意味
優愛の家を後にし魔界に帰ろうとした時だった。
近くの公園を通った時、声を掛けられる。
「こんばんは、飛影。」
気配を消してそこにいたのは蔵馬だった。
「悪趣味なやつめ、ずっといたんだろう」
「知っててイチャついてたんですか?」
「イチャついてなどいない!」
「ははは珍しいですね声を上げて」
「それより何の用だ、こんな所で」
茶化す蔵馬は表情が一変して真剣な眼差しで俺を見る。
「いいんですか優愛さんのこと…あの時あなたは…いや、聞くだけ野暮なんですかね」
「?」
蔵馬が何を言ってるかさっぱりわからなかった。
何故優愛のことを?
俺が魔界であいつに会ったことは話していないはずだが…
「それ、またつけているんですね似合ってますよ」
それ、とは紅いミサンガのことを蔵馬は指していた。
似合ってると皮肉じゃなく優しい言葉使いで言っている。
そして奴が言った“また”とは?
「気持ち悪いやつだ。知ってることは全部吐け」
「これは貴方達の問題ですから俺は関与しませんよ。手助けくらいはしますが」
そう奴は笑顔を向ける。
俺はそれを無視して摩天楼の中へ飛び込んで行った。
優愛が大切だと言ってくれたミサンガに心を満たされながら
「これも運命なのかな飛影と優愛さんの」
1人残された蔵馬は摩天楼にむかい呟くのだった。