第10章 後日談ーデート編ー前ー
「と、とにかくだ!ほしいなら一つくらい買ってやる!」
飛影は照れを誤魔化すように声を大きく上げた。
「で、でも飛影お金は持っているの?」
てっきり持っていないものかと思い、今日のデートは全部自分持ちにしようとしていた優愛は驚く。
「馬鹿にするな、持っている。」
「もしかして蔵馬さん達からかりた…とか?」
「違う、ちゃんと俺のだ。」
そんなにたくさん持ってはいないが…と最後に小さい声で言っていた。
最近、人間界と魔界で上手く均衡がとれた結果、通貨も得やすくなったらしい。まあ、あながち優愛の言ってたことも間違いじゃない人間界のお金を正式に手に入れるため彼らには少しだが力を借りた。
「で、どれが欲しいんだ」
「えっと…」
折角、彼が初めてプレゼントしてくれるものだ。
慎重に決めなくてはと迷いに迷う。
悩んでると店のおじさんが口を出してきた。
「ハハハ若い熱々カップルには負けたよ!」
「?」
飛影と優愛は驚いておじさんを見ると綺麗なペアネックレスを差し出してきた。
「えーと…?」
「あげるよ君たちに…お金は、いらないから」
「え!そんな悪いです!」
「いいから、そのかわり彼氏君…彼女を大切にするんだよ」
「フン、言われずともな」
ツンと言い放つ飛影を横目にペアネックレスを受け取る優愛。
「ありがとうございます。おじさん!また会った時はちゃんと買いますから…えっと飛影、彼と一緒に」
「ああ是非楽しみにしてるよ」
おじさんの店を後にし
ペアネックレスを見ると二つともパズルピースの形をしているものが付いている合わせてみるとぴったりくっつく。
「これ氷泪石も付けられるんじゃないかな」
「今はもう氷泪石はいらん」
「え?なんで?」
「行くぞ」
「ちょっとー!」
さっさか行く飛影の背を慌てて追う優愛。
お前がいるからもう氷泪石なんぞいらないと
素直に言えない飛影だった。