第10章 後日談ーデート編ー前ー
飛影は人間界を結構跳び回っているほうだが
改めて歩いてみると街並みは壮観に思えた。
「飛影ってどんなものが好き?」
そう聞かれるが答えがでない。
何せ生きてきたものがものだから趣味というのは無いのだ。
昔は吹き出す鮮血が好みだったがそれを無邪気な優愛の笑顔の前では言えるわけがない。
それを察したのか優愛はごめんと俯いた。
「あ!オシャレな洋服屋がある!行こう!」
振り切って優愛は繋いだ手を引っ張り店に入る。
快く女性店員が迎えてくれた。
服を選んで飛影にこういうのが私似合うかなー?と聞く。
ファッションには興味はないが何着ても可愛いから似合うんじゃないか?と思いはするが性格上絶対言わない飛影だった。
ただ優愛が楽しいならそれでいいと思っていた。
「飛影も何か新しい服どうかな?ほらあそこメンズのがあるよ!」
指差す方向を見るが進まない。
そんな姿を見て優愛はメンズに向かう。
「ハハ、飛影はやっぱ暗めの色が似合うかな」
似合いそうな服を飛影の体に当て笑う。
「たまにはコート以外もいいかもよ?いやコート姿も好きだけど」
思わず好きと言い少し顔を赤める優愛。
飛影はそれを見て思わず目を逸らした。
そして
「お前が…」
「?」
ボソッと呟く声に反応する。
「…お前が…似合うって言ってくれるなら…いつかそういう服も着てやってもいい」
ホントに小さい声で言っていた。
でも優愛の耳にはちゃんと届いたようだ。
「ふふ、わかった!今度ね!」
2人は手を再び繋ぎ店をでた。