第8章 紡ぐ紅い糸
人間の女が迷い込んだのを確認し現場に向かう飛影。
妖怪が女を襲い掛かろうとして風のように間に入る。
「貴様、煙鬼の言ったこと忘れたか」
襲おうとした腕を剣で向けると妖怪は悲鳴を上げて逃げた。
「あ、あの…ありがとうございます助けてくださって」
「フン、別に…仕事をしただけだ」
飛影と優愛の感動になるはずの再会は冷たいものだった。
何せ二人はお互いの記憶が失われていたのだから…
想いも…
しかし完全に記憶も想いもなくならないように蔵馬も上手くやったようだ。
優愛と再会し飛影は薄皮を剥がす如く一枚一枚丁寧に記憶が戻っていく…
心の中でバラバラになった紅い毛糸がミサンガが結ばれて…
あの愛おしいという気持ちが蘇る…