第2章 合宿
その時フードが取れてしまった。
フードが取れた顔を見てびっくりした顔でこっちを見る不二先輩。
私は慌ててフードを被り直した。
「五十嵐さん顔の傷どうしたんだい?」
疑問に思って聞いてくる不二先輩。
もし姉にやられたと言えば不二先輩は怒るだろう。
そして私は姉にまた殴られるのだろう。
それが怖かった。だから私は下を向いて俯く事しか出来ない。
「もしかして由美さんがやったのかい?」
!?なんで分かるの…私何も言ってないのに…
震えが止まらなくなる。
私は直ぐに首を横に振りまくった。
「そんなに隠さなくていいよ僕は何も聞かないし誰にも言わないから」
そう言ってまたいつもの優しい顔に戻った。
それを聞いて涙が出てくる。
不二先輩が優しくて良かった。もし誰かに言われたら私の命は無くなるし。無理に聞かれたら私はきっと全てを話してしまう。
そんなの嫌だったから。
「それより五十嵐さんはどうやって帰るんだい?」
私ははっとなりどうしようかな…って呟きながら下を見た。
「きっとこの顔じゃどこも行きたくないだろうし…
僕の部屋に来るかい?たまたま僕の部屋は1人部屋なんだ」
私は余計に首を横に振る。
そんなのバレたら殺されるし…
「拒否したら僕は五十嵐さんのこと話すよ?」
そう言って悪魔の微笑みが聞こえた。