第3章 「覚醒と壊れゆく心」
~カルツ~
「…………大丈夫だよ、カルツ…………。」
誰だ?
とても、懐かしい声…………。
それに、優しい…………。
俺の事を守ってくれるみたいだった。
「……………………カルツ。私は生きているよ。」
そうだ……………この声は…………。
そして、この声はとても弱々しかった。
今でも、消えそうだった。
俺は、必死に手を伸ばす。
声が、聞こえる方向に…………。
「……………だから……………。カルツ………………。私を…………………。」
「ま、待ってくれ!!ハルツ…………………。ハルツーーー!!!」
「カルツ!?どうしたの!?」
「っ!?」
俺は、誰かに体を強く揺らされ、目を覚ます。
俺の目の前には、不安げな表情をしたルカとジン。
ルカは、俺に目覚めた事に、ホッと息を吐いて微笑む。
一瞬、何があったのかと思考が停止となったが………。
すぐに、現実だとわかった。
ジンは、腕を組ながら真剣な表情で俺を見て言う。
「………カルツ、何があった?だいぶ、うなされていたぞ。」
俺は、息を大きく吐いて言った。
「………ハルツの夢を見た。」
「………………どんな夢なの?」
ルカが、俺に質問をしてきた。
だが、俺は首を左右に振った。
「よく、わからない夢だった。」
俺が、そんな風に言ったら誰もが黙った。
数秒後、その沈黙を破ったのはジンだった。
「まぁ………夢は、そんなものだ。だが…………正夢でもあるはずだ。」
「………正夢………。」