第3章 「覚醒と壊れゆく心」
私は、僅かな声でガジルに話掛ける。
「……とりあえず、私の部屋で話そうか。」
「…………あぁ。そうだな。」
私がそんな風に言うと、ガジルは弱々しく答えた。
やはり、ガジルがおかしかった。
そんな疑問を思いながら、すぐに私の部屋に着いた。
扉を開けて、私の部屋に招き入れる。
ガジルは、私の部屋に入ってすぐに、ソファーにドサリと座る。
私は、ベッドに座る。
ガジルは、胡座をかきながら私に質問をする。
「なぁ。命を懸けて守りたい奴とかいるか?」
守りたい人………私の脳裏で出てきた顔は、カルツだった。
私は、ゆっくりと口を開き言う。
「………居るよ。この世に、たった1人だけ。」
「…………。」
ガジルは、私をジッと見つめる。
そして、数秒私を見ていたガジルの瞳が、ゆっくりと閉じていく。
「…………そうか。」
「………ガジルは、居ないの?」
さっき、弱々しく言っていたので、私は気になって仕方なかったので、ガジルに質問をしてしまった。
ガジルは、一旦私の視線から外して、息を吐き再び私を見て言う。
「居るぜ。親より大切な奴が…………。」
ガジルの瞳は、とても優しかった。
今まで、見たこともない瞳だった。
私は、思わず見とれていた。
「ん?どうした?」
「えっ?いや………何でもない。」
私は、さっきのガジルの姿を見て、何故だか鼓動が高まった。